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第八回 神幸道

「神幸道」とは神輿が渡られる道のことで「しんこうどう」とか「みゆきみち」とも言われます。
 神輿渡御の前日が宵宮で、軒提灯には一夜中灯が入り、神輿は幻想的に光り輝きます。神幸道は、神輿渡御の前日の宵宮までに注連縄が張られ清められます。

 元々、神幸道には真ん中に砂が敷き詰められていたようです。
 今でも古式に則り神幸道に砂を敷き詰める土地もあります。
 京都府宮津市の日吉神社では、以前は神輿の駕輿丁は素足で舁きました。神幸道に砂が盛るのは駕輿丁の足を保護していたのかもしれません。
 比較的新しい形態の東京でも、神酒所の前に駐輿する神輿の臺(馬)の真ん中に砂を盛る所があります。
 これは古式の形態の一部が残って今にまで伝えられたものなのでしょう。
 神輿はこのように連綿と継承された古式に則り清められた神幸道を渡御されます。

 このように、神幸道は重要な神事場であり、私は神輿進行方向の正面撮影は遠慮していました。
 デジタルカメラ、ビデオカメラの発達で誰にでも神輿動座が撮影できる便利な時代となってきたからこそ、神幸道にみだりに立ち入るなどということのないよう、一層、マナーに注意しなくてはなりません。
 神輿渡御とは何か? このことをもう一度考えてみなければと思います。
 神幸道に土下座して神輿を迎える土地、道端で神輿に手を合わせている氏子、このような光景に出会うと自分自身も含めてのマナーを考えさせられます。
 初心に帰れと。

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