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神輿思惟(みこししい)、御輿思惟

 ―――― 今むかし ――――

神輿と私

監物 恒夫

神輿を写し始めて40年が過ぎた。最初のカメラはフィルムカメラで当然ネガフィルム装着して撮影した。そしてポジフィルムに移って行った。

今のようにデジタル写真ではモニターで今写した写真を見ることが出来るが昔は現像という工程を通らなければ画像は見ることはできなかった。自分が自信をもって写した写真が必ずしも成功しているとは限らなかった。今保存しているフィルムも長い時間経つと劣化してくる。そんなフィルムをどうしょうかと考えてはいたが、撮影の方に追われ手つかずのままであった。ここにきて古いフィルムをデータ化してくださる友人と出会えた。その方も神輿に造詣も深く頼りになる御仁である。古いフィルムには現在見ることが出来ないものも多くある。新調神輿に代ったものや破損したものは旧神輿として保存されている場合が多いが、一番残念なのは火災による焼失である。

 

現在神輿撮影の時、江戸時代の特長が各所にみえる神輿に良い評価をしない人が多いと思える。鋳物作りの鳳凰、蕨手、台輪角金物など見掛けだけを観る人も多い。私は今の神輿よりも前の神輿のほうが優れものが多いと思っている。「あの細かい細工は今では出来ない」と言われる神輿が、今より材料等が恵まれない時代に作りあげた職人の技量を忘れてはならない。詳細は項目ごとに書くとして本来の職人は技に手を抜かず、工期は驚くほど速い。

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